The Peninsula Beijing
China
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『ザ・ペニンシュラ』。今やアジアを代表する最高級ホテルである。
今回滞在する北京のペニンシュラは故宮から車で10分ほど、北京の中心部に位置する。
ザ・ペニンシュラの歴史は古い。1928年に香港&上海ホテルの創業者であるカドゥーリー兄弟により創業された。その後世界へ展開するなかで、中国初の高級ホテルとして北京に開業したパレスホテルの経営を1996年に受け継ぎ、2006年にペニンシュラ北京と改名された。
センスが良いのかどうかはさておき、来る者を圧倒する外観。建物正面にはモニュメント的に中国式の門が残されている。
エントランスホールの中央には巨大な階段がそびえ、その周囲を取り囲むように世界の名だたるブランドが店舗を構えている。中国本土でルイヴィトンなどが初めて店舗を出したのも、当ホテルだったとか。
階段の裏に隠れるようにダイニングスペースがある。通常大広間にあるダイニングは落ち着かないことが多いが、スペースを植栽で区切っているせいか、居心地はよく感じた。
このホテルでは230室全てがスイート。客室入ってすぐの所にドレッシングルームがあり、化粧台と左右にクローゼットがある。一角にある「バレットボックス」は客室と廊下側の両方に扉があり、ランドリーや新聞、靴磨きの受け渡しができる優れもの。
部屋は広々としており、書斎兼リビングルームとベッドルームが分かれている。落ち着いた色合いで統一されているのも印象的だ。上下に開閉するテレビボードが、大型化するテレビの存在感を消している。
奥はリビングと同じ広さのベッドルーム。観音扉を開くと、バスルームへと続く。バスタブ横の壁はモザイクタイルのアジアンアートで、横の壁に置かれたオブジェが空間をリビングのような趣にさせている。
ペニンシュラのバスルームは見た目だけでなく、使い勝手までよくできている。中央の通路を挟んで左右に洗面台が1つずつあり、シャワーブースとトイレは各洗面台の隣に配置されている。通常並んで設置しがちな2台の洗面台を左右に分ける空間使いが面白い。
扉が斜めについた台形型のシャワーブースとトイレは、使ってみると広々としていて快適。シャワーブース奥にさり気なく設置されたベンチまで、床材と同じ色のタイルで作られている。多くの要素があるバスルームながら、基本白と黒の2色で統一されているので、うるさい印象を受けない。
デザイン性の高いホテルは、タオルを置く場所が十分に用意されていないところが多い。その点、ここのバスルームはちょうど欲しいところにタオルバーやフックがあり気が利いている。設計者はかなり使い勝手を検証していると感じた。
共用プールは、黒を基調とした落ち着いた雰囲気。天井が低めなのはあえてそうしているのだろうか。プールサイドの植栽が、無機質感を和らげている。
ジムのシャワーブースは一つずつガラス扉で区切られていて、個別の更衣室を備えた贅沢なつくりだった。
ジムへ行く通路の一部がギャラリーになっているのが素敵だった。その土地のアートを飾ることで、通るたびに感性が刺激され、コミュニケーションのきっかけにもなる。
外観やエントランスの印象と、客室の洗練された感じに少し違和感はあった。広い客室は家族で泊まるにも十分だろう。
今回の滞在では、食事はホテルの人に勧められホテル正面の中華料理店に通うことになった。モダンで快適な部屋と、活気ある昔ながらの中華料理屋。このコントラストが中国を旅すると楽しいと感じる。街全体の発展も目まぐるしい中国。今だけの楽しみ方かもしれないが。