Roomers
Germany
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BadenBaden(バーデンバーデン)はドイツ南西フランスとの国境にある、名だたる保養地である。古代ローマ時代よりヨーロッパ有数の温泉地として知られ、著名な芸術家たちに愛されてきた。町の名前になっているBadenは、ドイツ語のバスルーム(Bad)を語源としているという。
Roomers Hotelは町の中心地から少し離れた所にある。昔ながらの住宅が立ち並ぶ閑静な通り沿いで、白と黒のコントラストを効かせた近代的な外観が印象的な建物だ。ガラスのエントランス扉から一旦風除室へ入ると、どこか特別な空間への幕開けを思わせる重厚な木製扉が現れる。
屋内は美術館のような静謐な雰囲気。巨大なペンダントライトが、そこがフロントであることを静かに示している。大きな円卓でスタッフの方とおしゃべりをしながらチェックインできるのは、親しみがわいてほっとする。
地上階は、ダイニングスペース以外はすべてリビングルームを思わせる、ゆったりとした空間として開放されている。奥にはビリヤード台もあり、思い思いの時間を過ごすことができる。大人数で賑やかに過ごすのが好きなドイツの国民性を表すように、デザイン違いの椅子がテンポよく並べられている。
ダイニングは通りに面して長細い空間構成。窓全体をおおう格子状の目隠しが、車通りの多い屋外を適度に隠しながら、空間のアクセントにもなっている。
西欧や北欧を旅行していて居心地がよいのは、目や耳から入るノイズが少ないことが大きい。例えばエレベーターホール一つとっても、一見「親切」な案内や注意書きは何一つなく、オブジェ的にチェアや絵が飾られているだけ。いたってシンプルなことが、心地よさへつながる。何かわからない事があればスタッフに聞けば親切に教えてくれるし、そこから生まれるコミュニケーションが旅の醍醐味になる。
部屋の扉には、ヨーロッパでよく見る金属のドアノッカーが装飾として付けられている。最初にヨーロッパでドアノッカーを使った時は、こんな素朴な音で本当に中まで伝わるのだろうかと疑問だったが、心配は無用だった。何もかもが近代的で便利になっていく現代で、こういった昔ながらの不便なものに触れるとホッとする。
屋内は無垢のフローリングが張られ、全体的に温かみのある設え。家具は全て置かれているだけなので圧迫感がなく、部屋をアットホームに見せている。
玄関通路とベッドルームとの間仕切り壁は全面鏡で、一部が扉になっている。バスルームに通じる壁も扉を開けると相互に見られるようになるのが面白い。
バスルームはベージュの石調タイルで床壁がコーディネートされていて、上品な雰囲気。巾1メートルほどのカウンターは、アメニティを置けるスペースも確保されていて使い勝手がよい。
最上階にあるバーは円形状のカウンターがステージのようで、中にバーテンが立つと絵になる。隣接するテラスにはプールがあり、夏場だと周辺の美しい景色に囲まれて楽しく過ごせる空間になっている。